断熱材の入れ方で、大きく変わる断熱性能
「断熱性能」を高めるポイントの一つは、断熱材の入れ方、つまり施工方法です。
寒い部屋で寝る時、1枚のふんわりとした羽毛布団なら暖かいけれど、座布団では寒いですよね。これは、建物でも同様です。隙間だらけの施工だと、断熱材は十分な性能を発揮できません。同じ断熱材を使っても、それが「どのように」入れられているかで、住宅の断熱性能は大きく変わるのです。
【column】湿気に対しての備えも万全!
主要な断熱材であるグラスウール断熱材は、水や湿気を透すという性質がありますが、1980年代以降の防湿・気密・通気工法の開発によって、壁の中での結露問題は克服されました。
この工法は、グラスウール断熱材の室内側を、湿気を透しにくい「防湿気密シート」で覆い、屋外側を、オムツカバーのような水は透さず湿気は透す「透湿シート」で覆います。これによって、室内からの湿気と屋外からの雨水の浸入は防ぎつつ、壁の中の木材の呼吸を確保するのです。こうした工法を取り入れることによって、グラスウール断熱材による断熱は、結露に対しての備えも万全となりました。
住まいを快適にする「断熱材」の選び方
「断熱性能」を高めるための、断熱材の選び方について考えてみましょう。
「断熱性能」は、素材の「性質と厚み」で決まる
まず、断熱材の性能の違いを比較する方法を考えてみましょう。一般的に断熱材の断熱性能は、「熱伝導率(λ(ラムダ)値)」と「熱抵抗値(R(アール)値)」と呼ばれる値で表されます。
熱伝導率(λ値)
同じ厚さの断熱材を比較して熱の伝わりやすさを示す値のことで、その数値が小さいほど、熱が伝わりにくいことを表します。[単位:W/(m・K)]
熱抵抗値(R値)
実際に使用される断熱材の厚さを加味して、熱の伝わりにくさを示す値です。この値が大きいほど熱が伝わりにくい、つまり断熱性能が高いことを表します。[単位:m2・K/W]
一般的によく使われる3種類の断熱材の性能を比較してみると、次のようになります。
λ値には、実際に使用される場合の断熱材の厚みが考慮されていません。施工時の一般的な厚みを考慮した断熱性能はR値で示されます。つまりλ値の小さい断熱材を選んでも、実際の施工時に断熱材の厚みが薄いと、結果としての断熱性能は低くなってしまうのです。
【重要!】断熱性能は「熱抵抗値(R値)」で比較することが重要です。
コストパフォーマンスも考慮に入れて
次に価格の比較をしてみましょう。全く同じ断熱性能を実現する場合を想定して、それぞれの断熱材の材料費を比較したのが右のグラフです。グラスウール断熱材が最も安く、発泡系断熱材はグラスウール断熱材の2~3倍の価格になります。コストパフォーマンスに優れた断熱材を使うことで、同じ断熱性能を確保するならより安く、また同じ金額であれば、より高性能な住宅とすることができます。
【重要!】経済的でより快適な住まいを実現するには断熱材のコスト面も検討することが大切です。