グラスウールの断熱施工マニュアル|部位別の手順とポイント

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グラスウールの断熱施工の基本的な考え方

グラスウールボード・グラスウール断熱材の施工では、断熱及び防露性能を確保するために、断熱・防湿・気密層のラインは途切れる事なく、連続性を保てるように施工する事が基本です。

施工条件や部位ごとの詳しい納まりについては、「グラスウールの断熱施工マニュアル」を確認してください。

グラスウール断熱材の施工時4つのポイント

断熱工法について

  • 防湿層は、断熱材の室内側に設け、防湿フィルムを施工する。
  • 天井(又は屋根)、壁、床(又は基礎)の各部位で、連続した断熱層・防湿層を施工する。
  • 外壁と最下階の床、外壁と中間階の床、外壁と最上階天井又は屋根の取合部で、連続した防湿層を施工する。
  • 間仕切壁と最下階の床、間仕切壁と最上階の天井又は屋根の取合部で、連続した防湿層を施工する。
  • 外壁及び間仕切壁の上下端部は、気流止めを施工する。
  • 断熱材の内部で、耐久性、断熱性に支障のある有害な結露の発生を防止する措置を講じる。

断熱施工について

  • 断熱材を充填する場合は、周囲の木枠との間及び断熱材相互の間に隙間が生じない様均一にはめ込む。
  • 間仕切壁と天井及び屋根との取合部、外壁と屋根との取合部、外壁と天井及び屋根との取合部、下屋の小屋裏の天井と壁との取合部、間仕切壁と床との取合部、外壁と床との取合部では、納まりと施工に特に注意し、断熱材に隙間が生じないようにする。

各部位の取合部で断熱材に隙間が生じないよう施工する例を示す図

防湿・気密施工について

  • 防湿フィルムは、継目を縦、横ともに下地材のある部分で30mm以上重ね合せ、留め付ける。
  • 防湿フィルムの継目部分はガンタッカーを用いて200〜300mm程度の間隔に、その他の箇所は要所に留め付け、たるみ、しわのないよう張る。
  • 防湿フィルムの端部は、下地材のある部分で木材、ボード等で挟み付け釘留めする。
  • 各取合部においても、防湿フィルムの連続に注意する。

防湿フィルムの継目を下地材のある部分で重ね合せて留め付ける例を示す図

通気層施工について

  • 壁内結露を防止するため、断熱材の屋外側に通気層を設ける等の措置を講じる。
  • 通気層はその上下端部を外気に開放し、厚さは15mm以上を目安とし、通気層内に侵入した雨水が外部へ速やかに排出するような納まりとする。
  • 繊維系断熱材を使用する場合には、断熱材と通気層の間に防風材を設ける。防風材は防水シートが兼ねることも多い。

気流止めについて

  • 外壁や屋根、天井、床などを十分に断熱しても、その取合部から壁の内部に、床下の冷気が入り込むと、断熱性能の低下を引き起こし、内部結露の原因にもなるため、壁の上下の取合部には、気流止めを施工する。
  • 間仕切壁の上下にも、図3のように床下から小屋裏まで煙突状態になり、間仕切壁内を気流が生じるため、必ず気流止めを設置する。
断熱材・木材・防湿フィルム・防風層を色分けで示した凡例
間仕切り壁と取り合い部で生じる壁内気流の例を示す図3
  • 各部位の気流止めの施工例について、図4〜図7に示す。
断熱材・木材・防湿フィルム・防風層を色分けで示した凡例
床合板等による気流止めの施工例を示す図4
乾燥木材による気流止めの施工例(根太床)を示す図5
シート状防湿材による気流止めの施工例を示す図6
防湿フィルム付き繊維系断熱材による気流止め(4地域以南)の施工例を示す図7

断熱材の施工に関する基本構成

断熱壁体は、断熱層・防湿層・気密層・防風層を連続的に構成することが基本です。それぞれの層の役割や使用する材料を確認し、途中で途切れたり、隙間が生じたりしないように施工します。

断熱層・防湿層・気密層・防風層で構成される断熱壁体の基本構成を示す図8

①防湿層

防湿層とは、断熱層の室内側に設けられ、防湿性が高い材料で構成される層であって、断熱層への漏気や水蒸気の侵入を防止するものをいいます。

防湿層を形成する防湿材には、防湿フィルム付き断熱材の「付属防湿フィルム」を用いる方法と、別途、防湿フィルムを施工する方法があります。

■防湿層を形成する防湿材の例(国交省監修「日本住宅性能表示基準・評価方法基準技術解説」)

透湿抵抗〔㎡・s・Pa/ng(㎡・h・mmHg/g)〕 主な例示仕様
0.029(60) 防湿フィルムの材厚15μm以上のもの
0.082(170) 防湿フィルムの材厚50μm以上のもの(JIS A 6930に規定するA種と同等以上の透湿抵抗を有するもの)
0.144(300) 防湿フィルムの材厚100μm以上のもの(JIS A 6930に規定するB種と同等以上の透湿抵抗を有するもの)

木造住宅では、次のいずれかに該当する場合、防湿層を省略できます。

  • 地域区分が8地域
  • 床断熱において、断熱材下側が床下に露出する場合又は湿気の排出を妨げない構成となっている場合
  • 断熱層が単一の材料で均質に施工され、透湿抵抗比が規定値以上の場合

■防湿層を省略できる透湿抵抗比の値*

地域 1〜3 4 5〜7
屋根・天井 6 4 3
その他 5 3 2

* 品確法 断熱等性能等級4〜7の場合

天井の透湿抵抗比の計算例を示す式
5〜7地域における防湿層省略可否の透湿抵抗比の計算例を示す表

②通気層

屋根・外壁を断熱構造とする場合は断熱層の外側に通気層を設けます。断熱層と通気層の間に防風層を設けます。天井・床を断熱構造とする場合は、断熱層の外側に換気等の措置を講じます。

木造住宅では、次のいずれかに該当する場合、通気層を省略できます。

  • 地域区分が8地域
  • 地域区分が3〜7地域で、かつ、防湿層が0.082(㎡・s・Pa/ng)以上の透湿抵抗である場合
  • 透湿抵抗比が規定値以上の場合

ただし、省略できる要件は積極的推奨ではありません。

■通気層を省略できる透湿抵抗比の値*

地域 1〜3 4 5〜7
屋根 6 4 3
その他 5 3 2

* 品確法 断熱等性能等級4〜7の場合

③気密材

気密材には、次のような材料があります。

  • JIS A 6930に定める防湿フィルム以上の気密性を有するもの
  • 透湿防水シート(JIS A 6111)又はこれと同等以上の気密性を有するもの
  • 合板、石膏ボード、構造用パネル(JAS)又はこれと同等以上の気密性を有するもの
  • ボード状プラスチック系断熱材(JIS A 9511)、吹付け硬質ウレタンフォーム(JIS A 9526)又はこれと同等以上のもの(ただし、突合せ部については気密材・気密補助材を用いて隙間が生じない様にすること)
  • 木材等
  • 金属部材
  • コンクリート部材

④気密補助材

気密補助材には、次のような材料があります。

  • 気密テープ
  • パッキン材
  • 現場発泡材
  • シーリング材

床の施工方法とポイント

一般の床については防湿層の施工が省略できます。ただし防露上必要な気密処理として床下地材は下地のある部分でつなぐか目地を気密テープで塞ぎます。(実付き合板の場合はテープ不要)

床の断熱施工と床下地材の気密処理の例を示す図

(1)剛床の場合(床面の気流止めの施工が不要です)

  • 土台・大引間にアクリアUボードピンレスを充填します。
  • 剛床の場合床下地材で床下からの気流が止められます。
剛床の断熱施工のポイントを示す図

(2)根太床の場合

  • 根太間にアクリアUボードNTを施工します。
  • 床下からの気流を止めるために、気流止めを施工します。
根太床の断熱施工のポイントを示す図
  • 省エネルギー地域区分4地域以南の気流止めは、防湿フィルム付きグラスウールの仕様でも可能です。(筋交いがある部分には適用できません)

壁の施工方法とポイント

(1)防湿フィルム付グラスウール(アクリアネクストなど)の場合

 アクリアネクストの防湿フィルムが防湿・気密層になります。
 アクリアマットなどの18μmの防湿フィルムを使用する場合は、内部下地材(石膏ボード等)を胴差し・桁まで張り上げることで気密層となります。

  • フィルムの下部は床下地材に留め付け、床仕上げ材で押さえて床の気密層につなげます。
防湿フィルムの下部を床下地材に留め付ける例を示す図
  • 袋のフィルムの口を開ける
  • 断熱材を施工する際に、小口部分に隙間が出来ないようフィルムの口を開いて防湿フィルムを真っ直ぐ伸ばします。このとき小口部分や孔あきフィルム部分からグラスウールが見えていても問題ありません。
  • 壁のボードで柱・間柱、桁・梁の防湿フィルムを押さえ付けます。

壁のボードで柱・間柱、桁・梁の防湿フィルムを押さえ付ける例を示す図

  • ボードを張り上げる事で胴差を介して2階に断熱、防湿・気密層を連続させます。
  • 2階が根太床の場合は気流が壁内に入らないように気流止めを施工します。
  • 最上部はボードを桁まで張り上げる事で気流止めが不要になります。

ボードを桁まで張り上げて断熱・防湿層を連続させる例を示す図

  • 天井野縁は壁のボード張り上げ後に施工します。
  • 壁のボード施工前に野縁を組む場合でも、野縁より上の壁部分も忘れずに木材やボード等でフィルムの端部を押さえ付けます。

開口部(窓)まわりの場合

  • 窓回りに防湿フィルム付グラスウールを充填する場合は内法より長目にカットしてフィルムの耳を確保します。
  • 窓台、まぐさの見附面にフィルムを留め付け、ボードで押さえ付けます。
  • 窓回りに隙間が出来る場合はグラスウール端部を詰め込み、テープ等で防湿処理をします。

開口部(窓)まわりの防湿フィルム施工の例を示す図

筋交いの場合

  • 筋交い部分はグラスウールを隙間無く充填し、筋交い表面に防湿フィルムを施工します。
筋交い部分にグラスウールを充填し防湿フィルムを施工する例を示す図

室外側に面材が無く、筋交い部等の裏側に断熱材を施工した場合、断熱材が透湿防水シートを押して通気層を潰してしまうことがあります。その場合は、右図のように筋交い等の部分にあたる断熱材を切り欠いて施工することをお奨めします。

筋交い部分にあたる断熱材を切り欠いて通気層を確保する例を示す図

(2)別張り防湿シートの場合

〔 防湿シートは、JIS A 6930に適合する厚さ0.1mm以上のものまたは、0.2mm以上のものを推奨します〕

  • 外壁の寸法に適合する幅・長さのグラスウール(アクリアウールなど)を用い、柱と間柱間に充填します。
柱と間柱間にグラスウールを充填する例を示す図
  • 断熱材の施工後、室内側に防湿シートを縦又は横方向に張ります。防湿シートは、柱や間柱、桁、胴差などの木材の見附面にタッカーで留めます。
  • その上からせっこうボード等の面材で押えます。防湿シートの重ね部分は木下地のある場所で、30mm以上重ねます。
室内側に防湿シートを張り面材で押える例を示す図
  • ボードを張り上げることで胴差を介して2階に断熱・防湿層を連続させます。
  • 2階が根太床の場合は気流が壁内に入らないように気流止めを施工します。
  • 最上部はボードを桁まで張り上げることで気流止めが不要になります。

ボードを桁まで張り上げて断熱・防湿層を連続させる例を示す図

(3)コンセントボックス・配管まわりの処理

  • コンセントボックスを取付ける場合は気密コンセントボックスカバーを取付けます。(4地域以南は推奨)
気密コンセントボックスカバーを取付ける例を示す図
  • 断熱層を貫通する部分は気密テープ等の気密補助材を使用して隙間を塞ぎます。

天井の施工方法とポイント

小屋裏の外気が壁内に入らないよう気流止めを施工します。別張り防湿シートが防湿・気密層になります。

(1)天井部の断熱施工

  • 壁のボードを桁・梁まで張り上げ、野縁を組みます。
  • 野縁の上に断熱材を隙間なく敷き詰めます。
  • 室内側に防湿シートを施工します。
天井部の断熱施工のポイントを示す図
  • 天井の断熱材を2層にする際には上の断熱材と下の断熱材が直交するように施工をします。防湿フィルム付の断熱材を使用する場合は、上側の断熱材の防湿フィルムを剥がすか、穴を開けて湿気が通るようにします。
天井の断熱材を2層に直交させて施工する例を示す図

(2)間仕切壁との取り合い

  • 小屋裏から間仕切壁に外気が入らないよう気流止めを施工します。
  • 気流止め上部が断熱欠損とならないように注意します。(壁用又は天井用の断熱材をあらかじめ充填しておきます)
間仕切壁との取り合い部に気流止めを施工する例を示す図

屋根の施工方法とポイント

  • 垂木間に断熱材を充填します。
  • 野地板と断熱材の間には必ず通気層を設けます。
  • 通気層を流れる通気による断熱性能低下を防ぐため、防風層を設けます。
  • 室内側に防湿シートを施工します。

垂木間への断熱材充填と通気層・防風層の施工例を示す図

屋根の通気層を棟換気まで連続させる施工例を示す図

  • 屋根の通気層については棟換気まで連続させてください。(特に寄棟等)

気流止めの施工方法とポイント

木造軸組構法の外壁及び間仕切壁上下端部では、壁体の内部空間が床下、小屋裏などの断熱区画外に解放されています。これを放置すると外気が躯体内に侵入し、壁体の断熱性能を低下させたり内部結露の原因になります。そのためこの解放されている部位を「気流止め」で塞ぐ必要があります。

外壁及び間仕切壁上下端部を気流止めで塞ぐ施工例を示す図

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