西濵
グラスウールといえば、昔は壁の中に詰め込むような施工方法も多くなされていた印象があります。
布井
昔のモルタルの塗り壁などに入れ込むと、通気層がなくて、湿気がたまる事もありましたね。マット式のものでも10Kで50㎜という仕様で、コシがなかったりもしました。適当に施工しても入っちゃったと思うんです。
西濵
僕自身、リフォームを手掛けることが多いのですが、壁を開けてみるとズレ落ちているということもよくありますね。
布井
リフォームといえば、西濵先生も度々出演されているテレビ朝日系「大改造!! 劇的ビフォーアフター」の放送が始まった当初、作業を始めてみると、壁の中から黒ずんだり、ズレ落ちたグラスウールが出てくる場面が何度かありました。
西濵
防湿気密をしっかり保っていないから、内部結露が起こって水を吸ってしまっていたんでしょうね。
布井
そうなんです。その当時、グラスウールのシェアは高かったのですが、外断熱の人気も高まってきていたタイミングだったので「これはなんとかしないといけないな」と思って、ガラス繊維製品の製造事業を営む企業で組織する「硝子繊維協会」で、2007年に施工講習会制度を設けました。今年12年目を迎え、受講者も累計で1万人ほどになりました。
西濵
硝子繊維協会では、そのほかにどんな活動を行っているんですか?
布井
たとえば、グラスウールの充填断熱工法で建てられた家の外壁を開けて、内部に施工されているグラスウール断熱材がどのような状態になっているか公開検証を行いました。東北、関東、甲信越の7~26年経過した住宅6件で、施工状態、通気による汚れ、湿気の有無、断熱性能などについてチェックしました。その結果、やはりきちんと施工されていれば、カビや結露、黒ずみなどは認められませんでしたし、断熱性能の劣化もありませんでした。検証のレポートや実際の写真に加えて、グラスウール充填断熱工事の手順とポイントなどを冊子にして配布もしました。建築士のみなさんにも、一度お読みいただき、頭の片隅に置いていただければと思います。
グラスウール断熱材は性能が変わらない!?
硝子繊維協会において、建築後約18~22年経った木造住宅の壁の中のグラスウールを調べたところ、寸法、断熱性能とも変化なく、新築時と変わらない性能を保っていました。
黒ずんだ透湿防水シートを切り開いてグラスウールの状態を見ましたが、グラスウールは驚くほどきれいな状態でした。
グラスウールをめくり防湿フィルム側もチェック。カビの発生は見られず、結露の形跡もありません。
西壁を剥がしグラスウールの状況を確認。26年経過していますが状態は良く、結露の痕跡はありません。
厚さを測定したところ50mm以上あり、竣工当時の厚さが確保されていました。