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住宅の快適性

住宅の快適性

企画協力:株式会社チームネット

木のベンチは快適だけど、鉄のベンチはおしりが冷たい。
でも、鉄と木は同じ温度。それって本当?

p2_01.jpg木のベンチは快適だけど、鉄のベンチは座るとおしりがひやっと冷たい。でも実は、同じ温度の場所にあれば、鉄も木も同じ温度になります。

同じ温度なのに体感は全くちがう!?

私たちが感じる「暖かい」・「冷たい」という体感には、不思議なメカニズムが作用しています。
このメカニズムを「体感原理」と呼んでいます。この「体感原理」がわかると、住まいを快適にする方法がわかります。

同じ温度でも体感が違うのは、「熱の移動スピード」が違うから!

同じ温度の鉄と木に触れたとき、体感温度は大きく違います。この違いは何によって決まるのでしょうか?

それは「熱の移動スピード」の違いです。鉄は「熱を伝える力(伝導率)」が大きいので、熱が体から速く移動し、冷たく感じます。木は、鉄よりも「熱を伝える力」が小さいので、熱はゆっくりと移動し、冷たく感じません。

このように、同じ温度でも体から外へ逃げていく「熱の移動スピード」の違いによって、体感温度は変わるのです。こうした体感原理がわかってくると、快適な住まいをつくる秘訣がわかってきます。

「体感温度」を変える4つの要素

「熱の移動スピード」を変える要素は4つあります。この4つの働きによって、同じ温度でも「体感温度」は変わります。ここでは、この「体感原理」の基本を環境工学的な観点から整理してみます。

同じ温度の鉄と木。触ってみると、鉄の方が冷たい。
同じ温度なのに、どうして?
その理由は...伝導
ものを触ると、熱は手からものへと移動します。これが「伝導」です。鉄と木は、熱伝導率、つまり熱を伝える力が違います。熱伝導率の大きい鉄を触ると、熱が速く移動し、冷たく感じるのです。
夏、トンネルの中はひんやり涼しい。でも、気温は中も外も30℃。
同じ温度なのに、どうして?
その理由は...放射
直接触らなくても、温度の異なるものの間で熱は移動します。これが「放射」です。トンネルは土に覆われており、内側の表面温度が低く、そこからの冷たい放射によって体から熱が奪われ、涼しく感じるのです。
冬、風の強い日はとても寒く、風のない日は暖かい。
同じ温度なのに、どうして?
その理由は...気流
空気が動いて皮膚にあたると、皮膚の表面から熱が空気とともに移動します。これが「気流」です。風は熱の移動スピードを速くする働きをするので、同じ気温でも、風が強いと寒く感じるのです。
昨日の湿度は40%、今日は80%。気温は同じ30℃なのに、今日はとても暑い。
同じ温度なのに、どうして?
その理由は...蒸発
液体が気体となって「蒸発」するとき、気化熱を奪い、その周囲の温度を下げます。人は汗を蒸発させることによって、熱を逃がし、体温調節しています。湿度が高いと汗がうまく蒸発せず、暑く感じるのです。

体感温度に大きく影響する「表面温度」


体感は「周囲のものの表面温度」
に影響を受ける

4つの要素の中でも、体感温度に大きく影響するのが「放射」です。放射とは、自分の体と接触していないものの「表面温度」により影響を受けることです。つまり、同じ気温でも、周囲の表面温度が高ければ暑く、低ければ寒く感じるのです。

「おおよその体感温度」を計算してみよう

おおよその体感温度 = 気温 + 周囲の表面温度 / 2

※体感温度は、周辺の「気温」と「表面温度」だけでなく「日射」「気流」「湿度」等が影響し、人の「着衣量」や「活動状態」によっても変化します。本来の算出式ではこれら全てを加味しますが、ここでは気温と表面温度の影響を示す値である「作用温度」の算出式を参考としています。また本来、周囲の表面温度からの影響は、壁や床、天井など、それぞれの表面温度を面積割合に応じて算出しますが、最も影響が大きい面の表面温度を代表値とし、おおよその体感温度の目安としています。

体感温度を計算してみると、日常感じる「体感」の原因がわかる!

例えば夏の日、気温は同じでも、周囲にあるものの表面温度が違えば、体感は変わるのです。

「周囲の表面温度」と「気温」は、住まいづくりでも大切です。

上の例では、すべて気温は30℃ですが、体感温度はおおよそ25℃から40℃と、大きく違います。このように、体感温度には自分の周囲にあるものの「表面温度」が大きく影響しているのです。このことを理解すると、快適な住まいづくりの方法がわかります。

冬の「暖かさ」づくりのポイント

冬の暖かさづくりの基本は、十分な断熱によって「表面温度を下げないこと」です。室温が同じ20℃でも、床・壁・天井や窓の表面温度が低ければ寒く、高ければ暖かく感じます。

室温が20℃でも、表面温度が低いと寒い!
  1. 断熱性能が低いと表面温度が下がってしまう
  2. 気密性能が低いと暖房するほど外気が流入し温度ムラが生まれてしまう

表面温度を下げなければ、室温20℃は十分に暖かい。
  1. 断熱性能を高め表面温度を下げない
  2. 気密性能を高め温度ムラをつくらない

【column】家は家族を守る「シェルター」
家は、雨風や暑さ寒さから身を守ってくれる、とても大切な「シェルター」です。そしてその性能を高めるために欠かすことのできないものが「断熱材」なのです。
家を購入する時には、外観やバス・キッチンに目を奪われがちですが、「家」の本来の機能という視点で、もっと構造や断熱について考えてみましょう。外観やバス・キッチンは建てた後でも簡単に取り替えられますが、構造材や断熱材を取り替えるのは大変です。
高い断熱性能をそなえた快適で堅牢な「シェルター」は、次の世代のストックとして長期に渡って住み続けることができます。

夏の「涼しさ」づくりのポイント

夏の暑さ対策の基本は、断熱と日射の調整によって「室内の表面温度を上げないこと」です。室温が同じ28℃でも、床・壁・天井や窓の表面温度が高ければ暑く、低ければ涼しく感じます。

室温が28℃でも、表面温度が高いと暑い!
  1. 屋根面の断熱性能が低いと天井の表面温度が上がってしまう
  2. 直射日光が入り込むと窓や床の表面温度が上がってしまう
  3. 室内の通風が悪いと室温が上がってしまう

表面温度を上げなければ、室温28℃は十分に涼しい。
  1. 高い断熱性能で表面温度を上げない
  2. 窓からの日射を遮蔽し床や窓面の表面温度を上げない
  3. 通風に配慮しこもった熱を逃がす

【column】断熱性能が高い家はエコノミー&エコロジー
断熱性能によって、暖冷房の費用は大きく変わります。例えば、東京地区の約37坪の木造住宅で全館連続暖冷房をしたと試算すると、「断熱性能の低い家」が年間約12万1千円なのに対し、「断熱性能の高い家」は、約6万2千円で済み、約5万9千円もの差がでます。※
暖冷房にかかる消費エネルギーをCO2排出量に換算すると、その差は年間約1400kg。これは、杉の木約100本分のCO2吸収量にあたります。断熱性能を向上させればお財布にも、そして地球環境にも安心です。

※「断熱性能が低い家」:昭和55年省エネ基準相当
「断熱性能が高い家」:平成11年省エネ基準相当(計算詳細はお問い合わせください)

断熱材の入れ方で、大きく変わる断熱性能

「断熱性能」を高めるポイントの一つは、断熱材の入れ方、つまり施工方法です。
寒い部屋で寝る時、1枚のふんわりとした羽毛布団なら暖かいけれど、座布団では寒いですよね。これは、建物でも同様です。隙間だらけの施工だと、断熱材は十分な性能を発揮できません。同じ断熱材を使っても、それが「どのように」入れられているかで、住宅の性能は大きく変わるのです。

× 断熱材が隅々まで入っていない家

○ 断熱材が隅々まで入っている家

【column】湿気に対しての備えも万全!
主要な断熱材であるグラスウールは、水や湿気を透すという性質がありますが、1980年代以降の防湿・気密・通気工法の開発によって、壁の中での結露問題は克服されました。
この工法は、グラスウールの室内側を、湿気を透しにくい「防湿気密シート」で覆い、屋外側を、オムツカバーのような水は透さず湿気は透す「透湿シート」で覆います。これによって、室内からの湿気と屋外からの雨水の浸入は防ぎつつ、壁の中の木材の呼吸を確保するのです。こうした工法を取り入れることによって、グラスウールによる断熱は、結露に対しての備えも万全となりました。

「断熱材」の選び方

「断熱性能」を高めるための、断熱素材の選び方について考えてみましょう。

「断熱性能」は、素材の「性質と厚み」で決まる

まず、断熱材の性能の違いを比較する方法を考えてみましょう。一般的に断熱性能は、「熱伝導率(λ(ラムダ)値)」と「熱抵抗値(R(アール)値)」と呼ばれる値で表されます。


熱伝導率(λ値)

同じ厚さの断熱材を比較して熱の伝わりやすさを示す値のことで、その数値が小さいほど、熱が伝わりにくいことを表します。[単位:W/(m・K)]

熱抵抗値(R値)

実際に使用される断熱材の厚さを加味して、熱の伝わりにくさを示す値です。この値が大きいほど熱が伝わりにくい、つまり断熱性能が高いことを表します。[単位:m2・K/W]

一般的によく使われる3種類の断熱材の性能を比較してみると、次のようになります。

図:断熱材の性能比較

λ値には、実際に使用される場合の断熱材の厚みが考慮されていません。施工時の一般的な厚みを考慮した断熱性能はR値で示されます。つまりλ値の小さい断熱材を選んでも、実際の施工時に厚みが薄いと、結果としての断熱性能は低くなってしまうのです。

【重要!】断熱性能は「R値」で比較することが重要です。

コストパフォーマンスも考慮に入れて

次に価格の比較をしてみましょう。全く同じ断熱性能を実現する場合を想定して、それぞれの断熱材の材料費を比較したのが右のグラフです。グラスウールが最も安く、発泡系のものはグラスウールの2~3倍の価格になります。コストパフォーマンスに優れた素材を使うことで、同じ性能を確保するならより安く、また同じ金額であれば、より高性能な住宅とすることができます。

m2当たりの価格を熱抵抗値で割った数値(グラスウールを100とした場合の数値)(弊社調査による)

【重要!】経済的でより快適な住まいを実現するには、コストの面も同時に検討することが大切です。

「住まい」の断熱性能を示す数値

λ値・R値は「断熱材」の性能を示す値です。その断熱材を使って完成させた「住宅全体」としての断熱性能を示す値には、Q(キュー)値・C(シー)値などがあります。

Q(キュー)値・C(シー)値

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